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町長室へようこそ No.28

なんとなく 今年は よいこと あるごとし 元日の朝 晴れて風なし(石川啄木)

新年明けましておめでとうございます。
昨年は大雪のニュースで元日の朝を迎えましたが、今年の元日は風もなく穏やかな朝で、初日の出も少し見ることができました。ここ2年ほどあまりに色々ありましたから、冒頭に有名な啄木の正月の歌を私の心境とダブらせて紹介してみたものです。

今年のえとは「庚寅」(かのえとら)です。「庚」は昨年のえと「己丑」(つちのとうし)で規律を正したものを継続し、罪・汚れを清めて償うとともに、思い切って更新・進化させていく。「寅」は志を同じくするものがお互いに協力・助け合うことを意味するのだそうです。よって昨年からのさまざまな問題に対処しながら、町民の皆さんとの協力のもとに町づくりを進めていかなければならないとの思いを強くしております。

はたち

1月4日、男性14人、女性21人の35人が新成人の集いに参加してくれました。
新成人の皆さんが生まれた時代は元号が平成に変わり、ベルリンの壁の崩壊、バブル景気の絶頂期と、大きな変容のときでした。その後20年は経済が減速ぎみで価値観も変わっていく厳しい時代であったと認識していますが、そういう背景に育った影響かどうかわかりませんが、自己紹介での新成人の口からは「両親に感謝したい。周りの人のおかげで今がある。思いやりのある人になる。」という言葉が多く聞かれました。

自分の将来設計をしっかり考えている新成人の皆さんが多く、この傾向は年々強まっているように感じます。皆さんが新しい時代を切り開くのです、がんばってください。
新成人の集いにて、自己紹介をする新成人の写真
 

恩師の言葉

いま、科学の発達により、わたしたちの周りは便利なものであふれ豊かな時代になりましたが、一方でモラルの欠如や命を軽んずる行為は後を絶ちません。かって地元紙として発行されていた滝上新聞の昭和37年(1962年)と38年(1963年)の元旦号に掲載された、滝上小学校 伊藤勝見校長先生(私が4・5年生のときの校長でした)の新年のあいさつ文が目にとまりましたのでその一部を紹介します。

新年を迎え、感ずること

「経済の安定とともに精神の安定が今後の大きな課題ではないかと思います。世はまさに宇宙時代といわれ、あらゆる科学の力が先行し、倫理(人間関係)道徳の面があとからあえぎあえぎ追いかけていはしまいか。科学の力をもっと人間生活のために役立てることを真剣に考えてみるときではないでしょうか。民主時代となると「人の命が軽んぜられる」ものなのかと、ふと錯覚を起こすことがある。人間尊重、生命尊重が基本的な考えであるのに・・・。(昭和37年)

「かすりの着物にはかまという一張羅で、厳粛な元旦の式を終え、北風の荒む丘で友人と奴だこを飛ばし、そりすべりに講じた時代が無償に懐かしい。・・・自己を大切にすると共に、お互いを大切にしたいものです。他に対する批判は、そのものをより充実させるという前提に立って、大いに結構だが、他に厳しく、自己に寛大な批判があまりに多くありはしないかしら。お互い人のやること、所詮限度ある人間のなせる業、話し合って協調・協力してお互いのよさを出し合うこそ、よい家庭・社会の建設に大事でないだろうか。いがみ合いの中に向上は望まれない。・・・現状あまりにも利巧打算的に走り、唯物的に偏してはいまいか。」・・・(昭和38年)

50年近くたっているのにもかかわらず、今の時代にそのまま当てはまる内容ではないでしょうか。違和感なく胸にドスンとくるのに驚かされます。この時代からの科学の進歩に比べ倫理・道徳の面はむしろ後退しているのではとさえ思う世相です。今日の行いは昨日より良くなり、明日の行いは今日よりも新しくなるように心がけるとの古典の言葉を少しでも実行しなければと言い聞かせているのですが・・・・・。
教師のすごさというのは教わっている間だけではなく、何十年経っても何かのきっかけにふと恩師のことばを思い出すところにあるのではないでしょうか。昨年は除雪に追われた元旦でしたが、今年の元日は恩師の教えをあらためて噛みしめる機会を与えてくれました。

勇ましい虎のイラスト画像今年がよい年になるよう がんばります。

滝上町長 長屋 栄一

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