町長室へようこそ No.71
今年は午(うま)年~馬文化
明けましておめでとうございます。元日のご来光を拝めたのは何年ぶりでしょうか。東の稜線から昇ってくる初日の出に向かって「今年が幸多い穏やかな年でありますように」願いを込め、手を合わせました。今年もご愛読をよろしくお願い致します。関係機関のあいさつ回りで、北海道新聞北見支社長の守谷久氏と懇談しました。滝上町の冬の観光の可能性から発展して、「馬」の話題になり、北海道の開拓の歴史になくてはならなかった馬は農作業だけでなく、冬山造材で運搬の主役でした。バチバチと呼ばれる橇(そり)を二艇つないだものに丸太を積んで山から里へ運ぶため、体格のガッチリした重種馬が活躍していました。子供の頃、凶作で収入を補うため町有林が農家に払い下げられ、くじで割り当てられた札久留の斜面の木を切り倒し運ぶのに、夜の明けきらぬうちバチバチに乗せてもらい父について行った記憶があります。雪でふさがった幹線道路までの道付けも馬でした。
守谷支社長から、観光客を乗せ闊歩する札幌の風物詩「札幌観光幌馬車」を創業したのが滝上町出身の土屋光雄さんだと聞かされました。札幌に出張すると大通り公園を中心に街中を「カッポ、カッポ、リン、リン」と音をたてる幌馬車を見ますが、30年もの間続けられたとは敬服の至りです。

土屋光雄さんは農業に従事していましたが、20歳の時滝上町を離れ、いろいろな仕事を経験したのち、43歳で観光幌馬車をスタートさせました。当時、馬車を乗り入れることは、車社会に逆行するもののように見られ、札幌市や警察署が交通渋滞や事故を懸念したものの、土屋さんの熱意が故板垣札幌市長を動かし、ゴーサインが出たものです。このことを知り、守谷久氏(当時、道新ぶんぶん記者クラブ事務局長)が土屋光雄さん、豊子さんの泣き笑いの歩みである愛馬物語を、なんとしても記録に残そうと「がんばれ銀太クン 札幌幌馬車ものがたり」として一冊の本にしたものです。

今年の干支である午にちなんで、馬の話題を紹介しましたが、有馬記念で圧勝したオルフェーブルのような疾風のサラブレッド種でなく、銀太クンは芦毛(グレー)色のペルシュロン種です。大地を力強く踏みしめ障害物を乗り越えてゆくばんえい馬のように歩みたいものです。
滝上町長 長屋 栄一
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