町長室へようこそ No.84
札幌医大第一外科と滝上町国保病院
滝上町国保病院に長きにわたって常勤医師を派遣し、週末の派遣もご支援いただいております札幌医大第一外科の平田公一教授が、3月末で退職されます。3月14日には、札幌医大で24年間教授を務めて来られた平田教授の退任・退職記念講演会が札幌で開かれ、出席して参りました。
町史によると、滝上町の国保病院の歴史は昭和31年(1956年)、札幌医大外科から院長、北大内科から副院長の両医師を迎え開院したことに始まります。爾来、札幌医大第一外科から派遣の医師が代々院長を務めてこられました。前院長は札幌医大ではありますが、唯一内科出身でした。現中村院長は北大出身であるものの、札幌医科大学第一外科同門会に入会が認められ、国保病院は医大の系列病院に位置づけられています(医大准教授の談)。
同門会というのは、同じ医局の出身者で情報交換や親睦を深めるいわば同窓会的なものですが、他の大学の出身者でも同門会が認めれば入会することができるそうです。同門会(医局)の医師つながりは相当強いものがあり、臨床研修医制度で医局の権限は弱まったとはいえ、医局の意向は同門の意向に相通ずるものと思います。それだけに札幌医大と滝上町国保病院との代々続いているつながりはこれからも大事にしなければならないと思っています。
退任・退職を記念しての講演は今回初めてですが、日本を代表する日本乳がん学会理事長、日本内視鏡外科学会理事長、日本外科学会理事長という医学界トップ3人の方々の講演に、400名近い出席者が聞きいりました。その中で、平田教授に対して、教授が中心となり日本癌学会で初めて胃がんのガイドラインをつくった功績や、外科医でありながら内科医のような繊細さ優しさを持って、若手を育てることに意を注いできた姿を称える言葉が多く聞かれました。
また、外科技術革新の過程で起こる失敗に、透明性・倫理性が必要なこと、あるいは医者は国家の奴雁たれ(奴雁は福沢諭吉の言葉、群れが餌をたべている間、見張り役の雁のこと)など、医療関係者に限らず人間としての生き方に示唆を与える含蓄に富んだ貴重なお話を伺うことができました。
平田教授からは、これまでお世話になった多くの方々へのお礼と、内助である真理婦人への感謝が述べられました。
実は、平田教授とは、8年前に町長に就任してからのお付き合いですが、初めて第一外科の教授室にご挨拶に伺った折、案内をしてくれた医療秘書の女性が西興部出身で、私の息子夫婦と仲の良い同級生であったことから教授室が身近に感じられました。その後数回町民の皆さんに癌治療の最先端など医療の講演をしていただき、院内では医師の指導に当たっていただきました。
一番の思い出は、国保病院の医師の退職にかかわることで、何度もお願いに伺ったことですが、講演会に続いて開催された祝賀会のおり、これまでの感謝を申し上げたところ、平田教授もそのことが心に残っているようで、「医師のことで町長にはご苦労をかけました」と話されました。会場では出席していた道内の2名の町長と共に札幌医大の島本理事長とも医療問題で懇談をしました。
国保病院もこれまで紆余曲折がありましたが、札幌医大からの週末派遣など途切れることなく滝上町に医師を送っていただいていることに感謝し、これからもしっかりとした関係を保ち、医療の確保に努めていきたいと思います。
滝上町長 長屋 栄一
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