町長室へようこそ No.110
はっか物語
先日、大人の図書館祭りで「はっか」を使ったカクテル「モヒート」を提供しました。暑い夏のさわやかな飲み物として好まれています。モヒートはキューバで生まれたカクテルで、ラム酒をベースにライムと砂糖とはっかの葉を使い、氷と炭酸水を加えて作ります。滝上町は和はっかの産地ですが、今回は洋種のスペアミントを使いました。ライムの酸味にスペアミントの甘い香りが、さわやかさを引き立てる飲み物です。
先日、道内の大手菓子製造販売会社と医療大学の薬学部准教授の方々が訪れ、昨年提供した和はっかから作ったハーブティーが好評で、さらに増やしたいと高い関心を寄せていました。
これまで、和はっかから搾られた取り卸油は香料会社を通じ、薬品や芳香剤、入浴剤、虫よけ剤などに活用され、また漢方薬の原料として乾燥したものを製薬会社に販売しています。一方、滝上町内では、和種はっかにこだわりを持つ、(株)りんねしゃさんは初期の品種である「赤圓(あかまる)」を、さばいでぃ農園の藤村さんは「北斗(北見農試最後の和種品種)」を栽培し、それぞれ独自にエッセンシャルオイルに製品化し販売しています。 また、商工会女性部とはっか生産者が中心となって開発した天然和はっか油100%のはっかスプレー「スートクール アウトドアミスト」も好評を博しています。

昭和初期、北見薄荷(はっか)は世界生産の7割を占め、北見薄荷の名をとどろかしたものの、輸入薄荷と合成薄荷の板挟みにより、大幅な価格低下、減産、高騰の波にあい、滝上町の作付面積も昭和36年(1961年)の316haをピークに減少し続け、昭和46年(1971年)には洋種のスペアミントが作付されましたが、残りませんでした。他地域のはっかが消滅したなかで、連綿と少数の生産者で栽培を続けてきた滝上の和はっかは、北見滝ノ上(昔の駅の名前)薄荷王国になる期待がふくらみます。
9月は収穫乾燥したはっかを蒸留施設で搾り、取り卸油にする時期ですが、この風物詩である「はっか搾り」を見学するツアーが旅行会社で企画されています。
本物志向の時代、国産天然ものの価値が再認識されつつあります。ネットで知りましたが、千歳空港の北海道みやげの売上げで、道産素材のコスメ製品のトップはミントスプレーだそうです。ちなみに2位は馬油。この際、滝上町産和はっかを大いに売り込んでいきたいと思います。
滝上町長 長屋 栄一
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