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町長室へようこそ No.167

経営危機に瀕している北海道酪農に対する提言をしました

 10月27日、札幌で北海道町村会政策懇談会が開かれ、農政分科会においてオホーツク町村会を代表して「経営危機に瀕している北海道酪農に対する提言」を行ないました。
 全道の町村長で酪農家出身は数名いますが、私もその一人であります。

 コロナ禍以降、学校給食などの休止や経済の落ち込みなどで、牛乳・乳製品の消費低迷が進み、生乳の生産目標を下げたのに加え、農協の組合長らでつくる酪農畜産対策本部等はさらに減産する方針を決めました。また、農業の中でも飼料、肥料、燃油と海外依存度の高い酪農は、これらの異常ともいえる価格高騰に経営努力では応じきれないコスト高に遭遇しています。

 さらに、大きな収入源である仔牛などの個体販売も、8月以降主産地では前年に比べ9割安の5~6千円まで暴落しました。大口の肥育業者の倒産も影響していますが、最低は110円。売れずに仔牛を持ち帰る不成立も50%になっており、廃用牛や妊娠牛も軒並み安くなって、最近は少し持ち直しが見られるものの、この窮状が続けば資金返済にも支障を来す農家も多く、離農につながるのではないかとの懸念があり、町村に支援を求める農協が増えています。当町にもオホーツクはまなす農協から要請が来ているところです。

 牛乳・乳製品の国内消費は生乳に換算すると1,200万トンを超え、国内生産700万トンとの不足分500万トンを海外輸入に頼っていながら、酪農家に生産調整を求めるのは、国際貿易協定があるとはいえ、本来おかしな話です。    

 コロナ禍でも消費の伸びているチーズは輸入量の大部分となる7割を占め、国内チーズのシェアはわずか1割台に低迷している現状にあります。

 国は高騰する肥料価格の支援に続き、購入飼料価格への支援を打ち出し、さらに低能力牛の淘汰に助成することは歓迎するものですが、食料の安全保障の観点からも、生産乳量を減産するのではなく、「原料チーズ」の生産拡大を政策的に誘導すべきで、酪農家が営農中止や離農とならないよう生産意欲を持続できる施策を強く求めました。乳牛は生まれてから牛乳を生産するまで2年半かかりますから、安易に生産抑制・調整すべきものではないのです。
 これについては、11月12日、北見市で開催された自民党移動政調会でも提言しました。

 酪農は北海道の農業生産の4割を占め、関連する業種も多く、経済を支える一翼を担っています。牛乳・乳製品などの消費を増やすようご協力をお願いするものです。


 

滝上町長 長屋 栄一

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