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たきのうえゼロカーボンニュース VOL7

脱炭素型で快適な団地の整備


 これまで、脱炭素化にむけた再生可能エネルギーや省エネルギーに関するさまざまな手法をご紹介してきました。
 こうした取り組みは、個別の住宅や事業所において実施されていくことが望ましいのはもちろんのこと、集合住宅や商業地域、工業団地などにおいて面的に導入・整備されることも重要で、このほうが全体的な脱炭素化に向けたコストを抑えられる場合もあります。

 再エネによる電気や熱の供給は、一つのインフラとして考えることができます。ドイツやオーストリア等の欧州の中山間地では、地域の住民が共同出資してつくった組合により、数十軒の集落に木質バイオマスの大きなボイラーを1基設置し、そこから温泉パイプを地中に這わせて温水を各住宅に供給することで地域暖房を実現している例がよく見られます。住宅内には温水が通るパネルヒーターがあり、断熱も30cm程度の断熱材やトリプルガラスによって室内のどこでも温度が快適に保たれているといった具合です。
もちろん、供給にあたっては費用負担や責任分岐などさまざまな点について丁寧な合意形成が必要となりますが、欧州では市民が将来を見据えた全体最適な仕組みづくりに積極的で、かつ、組合など住民の手によって地域のエネルギー供給システムを企画・運営することが多く見受けられます。

 さて、国内においてもこうした地域熱供給の事例や、電気をまかなうマイクログリッドの事例が表れてきました。
 山形県最上町は町域の84%が森林のまちであり、間伐材を活用し、「もがみまちウェルネスプラザ」として町の医療福祉施設、園芸ハウス、民間の老人ホームに対して木質バイオマスによる地域熱供給を実現しています。徐々に木質バイオマスボイラーを増設し、供給対象施設を拡大させており、夏場は冷房利用も実現しています。


図1 ウェルネスプラザもがみの全景
(最上町資料より)

 また、本州では千葉県の「むつざわスマートウェルネスタウン」が挙げられます。
ここでは、地元産の天然ガスを活用し、ガスコジェネと太陽光発電、太陽熱温水器で作った電気と熱を、住宅や道の駅等に対して供給しています。エリア内には自営線が敷かれており、外部からの受電を最小化しています。また、非常時にもガスコジェネおよび自営線によってエネルギー供給が継続される仕組みとなっており、令和元年に発生した台風に伴う大規模停電の中でもこのエリアは各施設へ電力供給が可能でした。


図2 むつざわスマートウェルネスタウンの全体像
(道路行政セミナー(2021年2月)資料より)

 エネルギー価格の高騰や自然災害など地域をとりまくエネルギーの自立・自給が重要性を増しつつあります。国内外のさまざまな事例を参考にして町内の豊かで安心な暮らしの確保につなげていきたいですね。







 

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